朝、起きると目の前でお母さんが朝食を用意していた。
バヤンモックは既に出かけているようだ。


昨日、昼間に6時間も寝たのにここまで熟睡できたのはお母さんとバヤンモックの人柄が良くて、心から安心して眠れたからだろう。
用意されていたツーテーツァイ(塩ミルクティー)を飲んで装備の点検をしていると、すぐに朝食が出来上がった。
昨日の昼と夜も作ってくれたツーヴァン(肉うどん)だ。

たくさん食べるから好物だと思ったのかもしれない。
お母さんのツーヴァンは優しい味がして、ダメージの残ってる体に染み込んでいくのが分かる。
お母さんは自分の箸を止めて、俺が食べている姿をうなずきながら嬉しそうにずっと眺めている。
本当のお母さんのように感じて、とても居心地の良い感覚に包まれた。


朝食の後は頭を洗いに川へ。


ゲルの外へ出ると、濃い青空を少し早めの雲が流れていってその影が一面に広がる草原と山に移っていた。
風が吹くたびに草が大きく揺れてキラキラと光っていて、歩いているだけで感動する光景。
そんな景色の中、少し冷たい小川で顔と頭を洗うことは最高に贅沢な気分だった。


ゲルに戻ってから日記を書いているとバヤンモックが馬を連れて戻ってきた。
どうやら昨夜、狼に襲われたらしい。
2箇所、深さ3センチ程えぐられて出血している。それ以外にも全身引っかき傷だらけだ。
俺が馬の首を抑えている間に、バヤンモックが慣れた手付きで傷口に薬を塗る。
痛むのかめちゃくちゃ暴れたけれどなんとか無事に治療を終えることができた。
かなり深手を負っていたから治るか心配だ。


その後、バヤンモックの友達も来て、柵の中にいる馬を投げ縄で捕まえる練習をさせてくれた!

バヤンモックや友達が軽々と捕まえてるからそこまで難しくないのかと思っていたけれど綺麗に輪の状態を保ったまま遠くまで縄を投げるのはかなり難しい。







何回もやってやっと仔馬を捕まえることができた!

なんとか捕まえた仔馬の首を抑えながら喜んでいるとバヤンモックが近づいてきて
「この馬はタイトにあげるよ。俺が育てておくから何年か経ったらまたこの馬に乗りに来い!」
と言ってくれた。

本当に嬉しくて、必ず戻ってくると約束をした。












その後、バヤンモックは狼の様子を見に行くとのことで、弟の奥さんと買い物へ。
失くしたライトの代わりを探しに行くことになった。

歩いていて気付いたけれど右足の踵が異常に痛い。
今まで拳ほどの大きさの石が転がってるような道を馬用のブーツで歩いてきたから、ずっと足にマメが出来ては潰れてを絶えず繰り返していて痛みに慣れて?というより麻痺している状態だったけれど、今回はから骨から痛む。

とりあえず厚手の靴下を買って様子を見ることにした。

お目当てのライトは強力なものがなかなか売っていなくて、5件ほど店を回ってやっと見つける事が出来た!

店を回っている途中、何人も「おー!タイト!元気か??」って声を掛けてくれた。
昨日バヤンモックが15軒ほど、色んな家に連れて行ってくれたおかげだ。

家に戻るとまだバヤンモックは戻っていなかった。
お母さんが言うにはバヤンモックが狼を一頭打ったらしく友人たちと飲んでるとのこと。

せっかく時間ができたからゲルの中で壊れかけのバッグを修理したりしながら、お母さんとバヤンモックの小さい頃の話とかこの町のことを話していた。

お母さんは耳が聞こえなくて、俺もモンゴル語はまだ不自由だから二人ともジェスチャーで話すのが得意だった。

ずっとモンゴル語を話してると疲れるけれど、ジェスチャーだと疲れなくて3時間くらいずっと話してたのかな?


バッグや道具の修理をしながらまったり過ごして、そのまま寝た。


移動距離:0
座  標:北緯 49.16556 , 東経 94.51283