朝7時。

運転手に肩を叩かれて起きると既にバスの中には人がいなかった。



久しぶりの二連に到着。

今日もいい天気だ。


お腹も空いたし、前に1回だけ食べに行ったことのある定食屋へチンジャオロースを食べに行くと
上半身裸のおじちゃんは今日も変わらず上半身裸だった。

とりあえずビールとチンジャオロースを頼むと
「あれ?おまえ、1年前にも来てなかったか?」と声を掛けてきた。


1回来ただけだし正直、覚えてないだろうと思ってたから驚いた。


モンゴル語を話せる日本人が珍しかったのか、
1年前と同じタンクトップに迷彩パンツ、ズタ袋に赤いバンダナの格好が変わってなかったからか。

どちらにしてもすごい記憶力だ。


ここの店は内モンゴルの人達の家族経営だからモンゴル語が少し通じて安心できる。

上半身裸のおじちゃんと世間話をしながらご飯を食べて、町の情報を色々と教えてもらった。

これからモンゴルを馬で旅すると言ったらかなり驚いてたけど「お前は強い男だからできる!」と励ましてくれた。


久しぶりのチンタオビールとチンジャオロースは美味い!!



お礼を言ってお店を後にし、モンゴルのみんなに渡すお土産用に中国製のお菓子を町に買いにいって、国境越えのジープに乗った。

相変わらず4、5人乗りのジープに10人乗っててドアが閉まらない。



自分の膝の上には少し大きめのおばちゃんが座ってて5分足らずで膝の感覚がなくなってきた。

それでも久しぶりのモンゴルに心が震えて、全然苦に感じない。


快晴の中で砂埃を上げ、猛スピードで閉まらないドアをバタンバタンいわせながらジープは進む。



あっという間に1時間弱で中国側のイミグレーションに到着して出国手続きをし、またジープに乗ってそのままモンゴル国境へ。


お菓子はUS$30位のものだし、かなり邪魔になるからジープに置いて、そのまま入国手続きをしに行った。


手続きはすぐ終わって一緒にジープに乗ってきたメンバーと世間話をしながら外で待っているも全然ジープが来ない。

他のジープの手続きに時間が掛かかっているようだし、強い日差しの中でヘトヘトになりながらも木陰を見つけてそこで待つことにした。



1時間30分程度待った頃、他のメンバーが「おい、ジープ来たぞ!」と声を上げた。


ジープが走ってくる方向にみんなで歩きはじめていると、ジープは止まるどころかスピードを上げてきてる。


モンゴル人の中年女性が「止まってー!!!」と叫びながら走り出す!

俺もズタ袋を肩に背負ったまま、本気で走って追いかける!!

「おーーーーい!!」



明らかにこっちには気付いている様だけどスピードを上げ続けてそのままジープは走り去ってしまった。




まぁお菓子が乗ったままだったけれど、どうせ$30分だし過ぎたものはしょうがない。

その辺の車と適当に交渉してザミーンウッドの駅まで乗せてもらうことにした。



車の中で冷静に考えると、$30分と言えど中国でしか買えないお菓子ばかりだったし

中国での$30は結構大きな金額。


これから色んな人と交渉して馬旅の準備を進める上でも、こんなに適当な危機管理じゃ成功するものも成功しなくなると深く反省した。




ザミーンウッドに到着したのが15:00。
久しぶりのザミーンウッド駅は活気があって、砂埃がひどくて、何一つ変わっていなかったのが嬉しかった。


すぐにモンゴルトゥグリクを両替をして、駅で列車の切符を買おうと切符売場へ向かった。


切符売り場の近くではモンゴル人男性と西洋人男女2人が何やら話し込んでいる。

何かトラブルか?と思って声を掛けてみると、西洋人が切符を買いたくてモンゴル人男性に訪ねたけれどモンゴル人男性があまり英語が出来なくてお互いに困っているようだ。


通訳係をして助けついでに自分も切符をどの列に並べば買えるか聞いて、西洋人2人と一緒に切符を買った。

行先は同じく首都ウランバートル。


2人ともオランダから来ているけれどつい2週間前に中国で会ったばかりらしい。

男がモーガン、女のほうがシンディーと言って同年代だったしすぐに意気投合。


シンディーがバックパックにつけている糸で編まれたお守りのようなキーホルダーが格好良くて

「それすごくいいね!どこで買ったの?」って聞いたら

「西安で買ったの!私のお気に入り!これお土産用にもいくつか買ったからさっきのお礼にあげるよ!」と

やさしい笑顔で一つ譲ってくれた。



それから今までの旅の話とか、自分の国の話をしていたらあっという間に3時間が過ぎて

18:30の列車が到着。




ホームの売り子から適当にジュースを買って列車に乗ろうとした時、

近くでボウズを買っている人がいて、ついつい懐かしくて買ってしまった。



ボウズというのはモンゴルでは代表的な料理で、小龍包を大きくしたような物の中に羊肉が入っている。


シンディーとモーガンにもあげると、「おいしい!」と喜んで食べていた。


列車で食べる1年振りのボウズは変わらない懐かしい味がして、やっと「モンゴルに帰ってきたな」という実感が湧いた。



車窓に流れる夕日に染まる草原を横目に、シンディーとモーガンとの楽しい夜は続いた。


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