朝、オフィスに到着すると、中は停電しているのか真っ暗だった。


扉をノックすると、ニンジンさんが慌てた様子で出てきた。

「ごめん!停電で書類が印刷できなくなっちゃった!」


まぁ海外ではよくあることだし、こういう時はゆっくり待つしかない。

お昼くらいまでのんびり待っていると停電は復旧したので、すぐに必要書類の印刷をしてイミグレーションへ!


オフィスに入るなり、この前のおじさんがこちらを見つけて「また来たのか!無理なものは無理だ!」と興奮気味で話してきた。

でもニンジンさんが丁寧に事情を説明してくれたおかげでなんとか審査をしてくれることになった。


一通りの書類審査が終わると90日のビザは下せないけど、60日なら下せて、ビザは中国の国境で受け取らなきゃいけないとのこと。

もう何回も中国の国境には行ってるし、それしか方法はないからそのビザをお願いすることにした。


ビザの準備まで5日かかるから、それまでは千夏さんのゲルに行って冬営地の解体やら馬柵の組み立てを手伝った。


5日後、前回の教訓をいかして列車はきちんとした寝台席を確保。

フレンドリーなモンゴル人家族4人と話したり、ゲームをしたりして、楽しい時間を過ごして、おまけにカップラーメンまで貰ってしまった。

人との出会いというのは列車の醍醐味の1つだな。


朝7:10、国境の町ザミンウッド着。

ジープで国境を越えて(10,000Tg)、11:00前には中国に抜けれた。

そのままモンゴル領事館に行って、1時間半並び、専用の用紙に記入して写真を1枚貼る。

事前に聞いていた確認番号を紙束の中から探して見つけ、係の人に見せると申請完了!

申請料は495元だった!


15:00以降にもう一度、領事館に行ってパスポートだけ返してもらって、いつもの店でチンジャオロースを食べた。

店主は相変わらず上半身裸でハイテンションだ。


「また来たのか!もう日本に帰るのか?」

「いや、これからまたモンゴルに戻って、買った馬でモンゴルを横断するよ」


他愛もない会話だけど、この町ではほとんどの人が中国語しか話せない中、モンゴル語で通じる人がいると安心する。



その日は近くのシャワーもないボロホテルに泊まって、翌朝、またチンジャオロースを食べてからモンゴルへ入国した。

翌朝にはウランバートルに到着して、最終的に足りない物をチェックして、市場に買い足しに行った。


上着の裏に軍用のベストを縫い付けて、外からは全く分からないけどいつでもGPSやらナイフを出せるようにした。

装備品は十分に揃ったし、3メートルの鞭もあるし、オオカミでも山賊でもなんでも来い!って気分だ!


明日から人生最大の冒険が始まる。

無事に横断が出来る可能性のほうが低いとは思っているが、最善を尽くせば得れる経験値は大きいはず。

不安よりも、好奇心のほうが圧倒的に勝っている自分に気付き、その時に初めて自分が「旅好き」ではなく「冒険好き」なんだと自覚した。



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