昼の12:00前にバヤンモックのゲルの床の真ん中で寝てしまい、起きると既に18:00になっていた。
体には毛布が掛けられていて、お母さんが晩御飯を目の前で作っている。

「おぉ。起きたかい?晩御飯が出来たら起こしてあげるからまだ寝てていいよ」

「もうすっかり回復したから大丈夫!バヤンモックは?」

「川の方に馬の様子を見に行ってるよ」

「じゃあ俺もちょっと見てくるね!」


外に出てみると想像以上に体が回復しているのを実感した。

寝る前は呼吸をするのもしんどいくらいに疲れていたから床で6時間寝たくらいじゃまだ半分も回復しないと思っていたけれど、寝る前にお母さんがツーヴァンを3~4人ほど強引に食べさせてくれたのが良かったのかもしれない。


でもいい人そうだからとはいえ、馬泥棒が頻繁に起きるこの国で自分の馬を初対面の人に預けるのは無警戒すぎた。

疲れで頭が回っていなかったとはいえ、ここまで毎日夜を徹して守ってきた馬を簡単に預けてしまった自分に反省しつつ、川の方へ向かった。

するとちょうどバヤンモックが川の方から歩いてきた。


「やっと起きたか!体は大丈夫か?」

「お陰様で!色々ありがとう!本当に助かった!俺の馬って今どこにいる??」

「草の良い所にいるから安心しな!」

「一応、体の状態も見ておきたいから見てきていい?」

「OK!案内してやる!」


そういって川の方へ一緒に歩き始めた。

普通、こんなに川が近くて草が生い茂っていれば蚊もブヨも多いはずなんだけれど不思議と全然いない。

馬にも人間にもこんなに住みやすい村があるのかとひそかに感動した。


少し歩いたところに20頭くらいの馬がいて、その中にジョナとクロもいた。


川と草のおかげか、村に入った時よりはかなり回復しているようだけれど、ジョナサンもクロもまだかなり疲れは残っていて、特にクロはまた鞍ズレを起こしていて疲れ方もジョナサンより激しい。

バヤンモックもクロの体力じゃウランバートルまでは行けないだろうと話していた。


とりあえず明日1日は休ませて様子を見るとしよう。


一旦、ゲルに戻るとお母さんがツーヴァンを作って待っていてくれた。

決して特別美味しい訳ではないんだけれど、噛む度にお母さんの優しさを実感できて食べていて胸がいっぱいになった。


食べて間もなく、バヤンモックが「友達に紹介してやる!」と外に連れ出してくれた。

どうやらお酒も飲みたいらしい。

モンゴル人はお酒を飲むと面倒になることが多いから少し警戒しつつ後ろについていった。



色んな家を回っては俺を紹介してくれて、「馬に乗って一人でバヤンウルギーから来たんだ!」って自分の事のように自慢してくれた。

15軒くらい回ったあたりで3軒目あたりに訪ねた友達が道端で5~6人と飲んでたからそこに混ぜてもらうことに。


みんなでビールやウォッカを飲んでるとたまたまバヤンモックの弟も通りかかって合流。

学校で美術の先生をしているようでバヤンモックの自慢の弟らしい。


みんなこの村で育っているみたいですごく仲が良くて、バヤンモックが子供の時に3日間迷子になって帰ってこなかった話とかみんなでいたずらした話とかで盛り上がった!

24:00くらいまで飲んで帰るとお母さんが「またこの子はこんなに飲んで!!」と怒っていた。


「体もまだ疲れているだろうにこの子がごめんね」

「いや、本当に楽しかったからバヤンモックには感謝してるよ!」


お母さんが申し訳なさそうに謝ったが、本当に今夜は心から楽しめた。


夕方まで6時間も寝たからちゃんと眠れるか心配だったけれどベッドに入って1分もかからず寝てしまった。

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▲左バヤンモック、右バヤンモックのお母さん


移動距離:0
座  標:北緯 49.16556 , 東経 94.51283